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2013年8月16日金曜日

MACHIDA.KANAGAWA.JPはなぜ「まぎらわしい」のか

私は検証用にいくつかのドメイン名を登録していますが、そのうちの一つが「発掘」され、世間をお騒がせすることになってしまいました。

このページのページビューは、8月16日(金) 9:00現在で、31438となっています。ずいぶんよく参照されています。ちなみに、「本物の」町田市のホームページは下記の通りです。


しかし、上記のような主張はいままでにもあったし、今更二番煎じのこのネタが、上記のような簡素な内容で話題になる理由としては、やはり MACHIDA.KANAGAWA.JPというドメイン名にあるのでしょう。これは「都道府県型JPドメイン名」というもので、「日本国内に住所を持つ個人・組織であれば、いくつでも登録ができます」(こちらより引用)。

では、どうして紛らわしいドメイン名が登録できるかという理由を説明します。
都道府県型JPドメイン名ができる前に地域型JPドメイン名というものがあり、多くの地方公共団体が利用しています。以下は、地域型JPドメイン名のうち、「地方公共団体ドメイン名」の説明です。JPDirectの説明ページから引用しました。


上記のように、政令指定都市をのぞく「市」のドメイン名は以下のルールに従います。


地域型JPドメイン名のルールは複雑なので、「地域型ドメイン名は廃止してはどうか」という指摘もあったものの、市のホームページに限っていえば、上記のルールに従ったドメイン名は「市」のものであることが確実でありました。
世の中には偽サイトというものがあり、フィッシングや偽情報の流布に使われます。ドメイン名を暗記していないサイトの場合、サイトの内容やデザインを見ただけでは区別がつかないので、ドメイン名の形式から簡単に地方公共団体のものであることが判別できると安心です。たとえば、日本の政府機関のドメイン名は「.go.jp」で終わるドメイン名となっている(例外もある)ので、簡単に判別できます。

地域型JPドメイン名は、個人や一般の団体でも取得できましたが、第4レベルが選べるもので、「市」のドメイン名とは簡単に区別がつきました。
  • TOKUMARU.BUNKYO.TOKYO.JP (私のドメイン名)
  • MITA.MINATO.TOKYO.JP (三田典玄氏のドメイン名)
※ 三田典玄氏のドメイン名は、港区三田という地名が実際にあるのでややこしいですが、大きな誤解は生じないでしょう。このドメイン名もシャレなんでしょうね。

さて、地域型JPドメイン名は、とにかく長いという欠点があり、あまり活用されていなかったようです。このため、2012年3月31日で新規登録が終了し、2012年11月から都道府県型JPドメイン名というものが使えるようになりました。その形式は下記となります(都道府県型.jpより引用)。


上図のように、「〈都道府県名〉.JP」の部分が旧の地域型JPドメイン名と重なっているため、地域型JPドメイン名の部分は予約され、都道府県型JPドメイン名としては登録できないようになっています。予約名の一覧はこちらから参照できます。
このように、ドメイン名を見ただけでは、地域型JPドメイン名なのか都道県型JPドメイン名なのか区別がつかなくなってしまいました(地域型JPドメイン名をすべて暗記していない限り)。このため、以下のようにややこしいことが起こります。
  • CITY.MACHIDA.TOKYO.JP : 町田市の本物のドメイン名(地域型JPドメイン名)
  • CITY.MACHIDA.KANAGAWA.JP : 筆者のドメイン名(のサブドメイン名)(都道府県型JPドメイン名)
すなわち、都道府県型JPドメイン名が出現するまでは、下記の形式のドメイン名は「市のドメイン名」であることが確実だったのに、その保証がなくなってしまったことになります。従来地域型JPドメイン名を使っていた地方公共団体や、市民にとっては迷惑な話ですね。


では、どうすればよいかというと、地方公共団体には、LG.JPドメイン名に移行してもらうしかないでしょう。
LG.JPドメイン名創設の目的
地方公共団体では、政府がe-Japan戦略に掲げる電子政府・電子自治体の実現に向け、住民・企業がインターネットを利用していつでもどこでも申請・届出等の手続が行える仕組みづくりを進めています。
匿名性が高いインターネット上で、住民・企業の皆様が安心して行政サービスを利用できるようにするためには、まずは行政サービスの提供者が地方公共団体であることを、住民・企業の皆様に分かりやすく示す必要があります。このため、政府機関等を収容するドメイン空間「GO.JP」に対応する、厳密に地方公共団体及び地方公務員を収容した住民・企業の皆様に分かりやすい地方公共団体行政専用のドメイン空間が必要とされました。
LG.JPドメイン名の創設は、地方公共団体組織認証基盤(LGPKI)の整備などと合わせて、地方公共団体が提供する電子行政サービスの信頼性を確保し、住民・企業の皆様が安心してサービスを受けられるようにすることを目的としています。
LG.JPドメイン名について - 財団法人 地方自治情報センター(LASDEC) より引用
以下は、LG.JPドメイン名を活用している地方公共団体の例です。
LG.JPドメイン名の登録開始が2002年10月で、それから10年以上を経ていますので、そろそろ地方公共団体は地域型JPドメイン名からLG.JPドメイン名に移行してほしい・・・ということなのでしょう。

まとめ

以前から地域型JPドメイン名の一種として「地方公共団体ドメイン名」というものがあり、地方公共団体の識別ができるドメイン名として今も多数利用されていますが、都道府県型JPが登場したことで、簡単には地方公共団体のドメイン名であることが識別できなくなりました。既にLG.JPドメイン名という識別しやすいドメイン名が用意されているので、できるだけ早くLG.JPドメイン名への移行が望まれます。
住民の立場からは、地方公共団体のサイトを利用して、重要な情報を得る場合や個人情報を入力する場合は、ドメイン名がLG.JPでないサイトについては、本当に地方公共団体のサイトであるか、信頼出来る方法で確認した方がよいでしょう。
例えば、地方自治情報センター(LASDEC)のホームページには、全国自治体マップ検索というページが用意されています。LASDECのサイトはEV SSLを利用しているので、本物であることの確認が容易に行えます。

追記

地域型JPドメイン名と都道府県型JPドメイン名を簡単に区別する方法として、Firefoxを使って閲覧するというものがあります。冒頭の画面キャプチャのアドレスバーを見ていただくと、都道府県型JPドメイン名(1番目の画像)の方はmachida以下が濃くなっていますが、地域型JPドメイン名(2番目の画像)だと、city以下が濃くなっています。これで区別ができますが、一般の方が活用するのは難しいでしょうし、Google ChromeやIEではこの方法は使えません。Firefoxをお使いの方は、試してみてください。

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