2013年1月9日水曜日

EMET3.5でIEを防御する(CVE-2012-4792)

先のエントリ「IE6,7,8のゼロデイ脆弱性(CVE-2012-4792)の対処法」で紹介したIE6~8のゼロデイ脆弱性(CVE-2012-4792)については、Fix Itによる回避策が提供されていますが、これを回避する攻撃が開発されたようです。
Researchers at Exodus Intelligence reported today they have developed a new attack that bypasses the FixIt issued by Microsoft. They were able to bypass and compromised a fully-patched system using some variation of the exploit published this week.
https://isc.sans.edu/diary/14824
試訳
Exodus Intelligenceの研究者たちは、Microsoftから提供されたFixItをバイパスする新しい攻撃を開発したと今日報告した。彼らは、今週発表されたexploitのいくつかのバリエーションを使用して、完全にパッチを適用したシステムをバイパスして危殆化することに成功した。 
一方、EMET(Enhanced Mitigation Experience Toolkit) 3.5を用いて、CVE-2012-4792の攻撃を回避できたとする報告もあるようです。EMETは元々Microsoftが回避策として提案していたツールです。
EMETは少し扱いの難しいツールですが、業務の都合上などでどうしてもWindows XP上のIE8以下のブラウザを使用しなければならないケースを想定して、Windows XP上にEMET 3.5 Tech Previewを導入して、IE用の設定をする方法を説明します。効果などは、前述のブログ記事を参照下さい。

EMET 3.5のダウンロードと導入

EMET 3.5の導入は以下のURLから可能です。

http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=30424


右下のDOWNLOADをクリックすると、ダウンロードが始まります。インストールは特に難しいところはありません。

EMET 3.5の設定

インストールが終了したら、EMETを起動します。


右下のConfigure Appsというボタンをクリックします。


Application Configurationというダイアログが表示されます。FileメニューからImport ...をクリックします。ファイル選択のダイアログが表示されます。



C:\Program Files\EMET (Tech Preview)\Deployment\Protection Profiles\Internet Explorer.xmlというファイルを開きます。これは、IE用の設定を予め記述したものです。


上記は、Application ConfigurationダイアログのAllタブをクリックした状態です。EMET3.5では、上記のように多くのメモリ保護の手段が提供されており、IEに対しては、そのすべてが有効となっています。これら機構のいずれかが働くことによって、任意のコマンド実行を防ぎます。

注意

合同会社セキュリティ・プロフェッショナルズ・ネットワークの塩月誠人さんに教えていただいたところによると、IEのアドオンによっては、誤検知によりIEごと落ちてしまうようです。その場合は、原因となったアドオンを無効にするか、EMET側の対応するルールを無効にする必要があります。
また、EMETはかなり強力なツールではありますが、IEの更新プログラムの代わりになるものではありませんで、IEの更新プログが提供され、適用するまでは、IEの使用は最小限に留めることをおすすめします。
企業等で導入する場合は、事前に十分にテストしてから展開してください。

追記(2013/1/9 15:50)

北河さん(@kitagawa_takuji)から、前述のExodus IntelligenceはEMETもバイパスできると主張していることを教えていただきました。北河さん、ありがとうございます。


まだこのツイートのみで詳細は不明ですが、EMETは有力なツールではあるものの過信は禁物であり、IE8以前の使用は社内システムなど必要最低限に留めるべきであることをあらためて強調したいと思います。


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