2010年4月6日火曜日

PROXY(プロキシ)経由でのDNSリバインディングと対策

補足

この記事は旧徳丸浩の日記からの転載です。元URLアーカイブはてなブックマーク1はてなブックマーク2
備忘のため転載いたしますが、この記事は2010年4月6日に公開されたもので、当時の徳丸の考えを示すものを、基本的に内容を変更せずにそのまま転載するものです。
補足終わり


このエントリでは、PROXY経由でWebアクセスしている場合のDNSリバインディング対策について考察する。
PROXY(プロキシ)経由でWebアクセスしている場合、DNSによる名前解決はブラウザではなくPROXYにより行われる。したがって、 ブラウザ側ではDNS Pinningできないので、PROXY側での対策が重要になる。
広く使われているPROXYサーバーであるsquidの場合、DNS Pinningに相当するパラメータは、negative_dns_ttlであり、デフォルト値は1分間である。したがって、最初のアクセスから1分あけてXMLHttpRequestすれば、DNSリバインディングが成立する。これは実験で確認した。Internet ExplorerやOperaは、他のブラウザと比べてDNS Pinningがしっかりされている印象があるが、PROXY経由の場合は、これらブラウザでも比較的簡単にDNSリバインディングが成立するので注意が必要だ。
先のエントリで説明したように、JavaアプレットによるDNSリバインディングでも、URLクラスを使いかつPROXY経由でのアクセスの場合は、やはりPROXYでのDNS Pinningが問題となる。PROXY経由でのアクセスでは、Javaアプレットの場合でも、JavaScriptのXMLHttpRequestの場合同様、1分以上間隔をあけてやればDNS Rebindingが成立する。ただし、攻撃に使用できるプロトコルはHTTPのみであるので、JavaアプレットとJavaScriptでは、リスクは変わらない。
negative_dns_ttlの値を大きくすれば、squidがDNSキャッシュする最低時間を延ばすことが可能だが、二つの点で問題がある。
第一の問題は、negative_dns_ttlを大きくすることの副作用だ。negative_dns_ttlは元々、DNSアクセスに失敗した場合のキャッシュ保持時間を意味するからだ。以下に、negative_dns_ttlのリファレンスを引用する。
Time-to-Live (TTL) for negative caching of failed DNS lookups. This also sets the lower cache limit on positive lookups. Minimum value is 1 second, and it is not recommendable to go much below 10 seconds.
[squid : negative_dns_ttl configuration directiveより引用]
このため、一例として、negative_dns_ttlを6時間に設定した状態でDNS参照に失敗した場合(参照先DNSサーバーが一時的に停止した場合など)も6時間はDNSを再アクセスしない。すなわち、DNSのエラーが発生した場合は、negative_dns_ttlで設定した時間内は、当該サイトにアクセスできなくなるのだ。このため、negative_dns_ttlの値をあまり大きくすると、サイト閲覧に支障がでる可能性がある。
第二の問題は、negative_dns_ttlを長くしてもDNSリバインディングの根本対策にはならないことだ。 その背景には、PROXYサーバーをマルチユーザで使う場合が多いことや、タブブラウザの普及などがある。 やはりnegative_dns_ttlを6時間に設定した場合で説明しよう。AさんとBさんが同じPROXYサーバーを共有しているとする。Aさんが10:00にワナサイトにアクセスした場合、PROXYは16:00までワナサイトのIPアドレスをキャッシュする。したがって、Bさんが15:59にワナサイトを閲覧すると、そこから一分間でDNSキャッシュが無効になり、Bさんのブラウザ上動作するXMLHttpRequestがプライベートアドレスにアクセスすることを許してしまうかもしれない。 また、シングルユーザで考えても、タブブラウザのユーザはタブを開きっぱなしにする傾向があるので、6時間後の攻撃が成立する可能性はある。

アクセス制御による対策

結局negative_dns_ttlによる対策はうまくいかないので、別の方法を考える必要がある。有効な対策は、proxyのアクセス制御(ACL)により、squidにプライベートアドレスを中継させないことだ。以下に、192.168.0.0/16に対してアクセスを禁止する場合のsquid.confの設定例を示す。
acl localnet dst 192.168.0.0/16
http_access deny localnet
この場合、プライベートアドレスに対してはPROXY経由でアクセスできなくなるので、ブラウザのPROXY設定の例外設定をお忘れなく。下図に例外設定の例を示す。



このACLによる対策の効果であるが、JavaScriptとJavaによるアクセスに関しては完全に対策できると考える。当初Javaアプレットが対策から漏れることを心配していたが、先のエントリで検証したように問題ないことがわかった。Flashについては未検証なので今後検証したい…ところだが、私はFlashのコンテンツを書いたことがない。どなたか教えてください。

まとめ

PROXY経由でWebアクセスしている場合のDNSリバインディング対策について検討し、PROXYのACLによりプライベートアドレスを中継禁止することで対策可能であることを示した。DNSリバインディング対策のまとめについては別稿にて報告する。

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