2017年1月12日木曜日

GodaddyのSSL証明書にドメイン認証の脆弱性があり8850件の証明書が失効された

エグゼクティブサマリ

GoDaddy社の発行するドメイン認証SSL証明書に認証不備の脆弱性があり、予防的な処置として8850件の発行済証明書が失効された。これは同期間に発行された証明書の2%未満である。現在は脆弱性は解消されている。

概要

GoDaddy社は米国のホスティング(レンタルサーバー)やレジストラの大手で、認証局(CA)の事業も手がけています。
GoDaddyが発行するドメイン認証証明書の認証手続きに不備があったとして報告されています。
In a typical process, when a certificate authority, like GoDaddy, validates a domain name for an SSL certificate, they provide a random code to the customer and ask them to place it in a specific location on their website. When their system searches and finds the code, the validation is complete.

However, when the bug was introduced, certain web server configurations caused the system to provide a positive result to the search, even if the code was not found.

Information about SSL bug - The Garage より引用
すなわち、ドメイン認証の手段として、GoDaddyが発行するランダムなコードを含むファイルをウェブサイト上の特定の位置に設置し、そのファイルの内容を確認することでドメイン所有者であることを確認しているが、ファイルがなくてもドメイン所有者とされ、証明書が発行できていたというのです。

以下、この問題のGoogle groupsにおけるディスカッションも参考にしながら、悪い人がgoogle.comの証明書を入手しようとしたと想定して、悪用の手順を紹介します。
  • 悪人は、GoDaddyのコントロールパネルからwww.google.comのサーバー証明書を要求する
  • コントロールパネルがランダムなコード(以下、例としてtR7PasZyを用います)を発行し、利用者に http://www.google.com/tR7PasZy.html を作成して、その中にtR7PasZyというコードを含めるように要求する
  • 悪人は、実際には上記のページを設置できないが、設置したという報告をコントロールパネル上で行う
  • GoDaddyの認証システムは、http://www.google.com/tR7PasZy.html からコードを読み取ろうとする。この際の表示は下記となる(ステータス404)


HTMLソースは下記の通り。
<!DOCTYPE html>
<html lang=en>
  <meta charset=utf-8>
  <meta name=viewport content="initial-scale=1, minimum-scale=1, width=device-width">
  <title>Error 404 (Not Found)!!1</title>
  <style> …省略…  </style>
  <a href=//www.google.com/><span id=logo aria-label=Google></span></a>
  <p><b>404.</b> <ins>That’s an error.</ins>
  <p>The requested URL <code>/tR7PasZy.html</code> was not found on this server.  <ins>That’s all we know.</ins>

  • ステータス404なのに、レスポンス中にコード tR7PasZy が含まれているために、認証は成功してしまう
  • 悪人は、www.google.com の証明書を入手できる

※ 実際には、google.com等の著名ドメイン名はブロックされる可能性もありますが、上記は脅威の分かりやすい例として紹介しています。実際にGoogleの証明書が不正に発行されたわけではありません。

GoDaddy社の対応

GoDaddy社は今年1月3日にメールにて報告を受けた後に、1月6日にエスカレーションされ問題を認識しました。調査の結果、バグが混入したのは2016年7月29日であり、2017年1月10日までに解消されました。
この問題の影響を受けた可能性のある証明書は最大 8850件であり、同期間に発行された証明書の2%未満ということです。これらの証明書は、GoDaddy社により失効手続きがとられ、利用者による再発行手続きが必要となります。

まとめ

GoDaddy認証局のドメイン認証脆弱性について紹介しました。類似の過去事例としては、下記のようなものもあります。


バグの本質的な原因は、HTTPレスポンスのステータスをチェックしていなかったことにありますが、ファイル名とファイルの中身の両方に同一の認証コードを含めるという設計は、上記のように潜在的な問題を抱えていると考えます。したがって、ファイル名とファイル中に記述する認証コードは別々に発行することで、仮にステータスのチェックが抜けていても脆弱性にならないような設計となります。このように、予防的な設計を心がけることが重要です。

1 件のコメント:

  1. >なるほど。つーことはファイル名と内容を別にすることこそが本質で、ステータス確認のほうが枝葉でしたか。
    >いずれにせよ徳丸さんの指摘は間違っていることに。
    https://security.srad.jp/story/17/01/13/2232244/

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